++天空カフェ日誌++


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* 2005年7月28日(木) 宮さまの日誌を
* 2005年7月28日(木) 消えゆくもの
* 2005年7月27日(水) またあの声を
* 2005年7月25日(月) 蘇芳さまのご来店
* 2005年7月24日(日) 例えば

消えゆくもの

 ………怖い。

 夜が明けて、もう30分ほどもたつのに。
部屋の中から動き出せずにいます。

 先ほどまでは、この日誌を前にして、
ただ、ジッとしているだけでしたから、
 窓の外から見ている人でもいれば、私は、
さぞかし変な姿でしたでしょうね。


 いま、どうしてだろう。
怖い。

 怖くてしょうがない。


 ………………


 日誌を前に、微動だにせず、化石のようにジッとして。
気付くと、呟いている。
 あの、特別な言葉。
なんどもこの呪文に助けて貰ってきた。
 あの人の声を、思い出しながら。


トキコさまがいきなり空中から顕れた時には、
 それは吃驚いたしましたが。
………それで、あの時のことが夢でなかったと、
 後から考え直して、思い知りました。


いや、
 笑われそうだから、誰にも今まで言った事はないけれど。
私は、小さいとき、一度、天使に逢ってるンですよ。
 天使に限らず、人でないものには、
しょっちゅう遭遇してましたけれどね。


 トキコさん………には、きっと聞かない方が良いのだろうな。
聞くと、失われてしまうものが、
 間違いなくそこにはある気がするから。
 ただ、感謝を。


あなたがいま、
 この世界にいてくださって、本当に、良かった。
あの方だけでなく、みんなそうだ。


 刃さま、風逢さま、萵苣さま、ファーレさま。
それに、トキコさまにセリさま。
 ………有坂さん。


 否応なく、巻き込んでしまったとしか言えなくても。
あの方々が、私の側にいて下さるから、
 私は狂わないで済んでいる。間違いなく。

 

 ………………


 そして、それでも、
どうしてだろう、いま、怖い。


いつもなら、もう、店に入って、最初のお客様へのご用意などを、
 はじめていた頃だ。


涼と二人で過ごした日なら、
 寝坊して寝坊して、二人でどれだけ寝坊できるか、
ベッドで競いあったな。


 この恐ろしさは、「いずみ」に託したもののせい?

それとも、これから起こる何かのせい?

 私の一部は。

確実に何かを理解しはじめている。

 私はそれを畏れているんだ。

わからないままでいたいと望んでいる。



 …………願わくば、涼。

今日、今すぐ帰ってきて。

 何かが来る。私はもう、持たないかもしれない………!


2005年7月28日(木) No.45

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